デザインガイド

小規模企業が基礎的なブランドビジュアルを整えるために必要なファイル

小規模企業が基礎的なブランドビジュアルを整える際に通常必要なのは、ロゴソースファイル、フォントとカラーの定義、基礎ガイドライン、そして名刺・レターヘッド・プレゼン資料・SNSなどの常用物料ファイルです。本記事では各ファイルの役割、形式の違い、納品・確認のポイントを説明します。

イメージ画像

小規模企業が基礎的なブランドビジュアルを整えるとき、まず悩むのが「どのファイルを揃えれば十分なのか」という点です。答えはファイルの数ではなく、今後それを何に使うかによって変わります。名刺やプレゼン資料、SNSのアイコンを統一するだけであれば、完全なブランドガイドラインを準備する企業とは必要なファイルが異なります。

以下ではファイルの種類ごとに分けて説明します。それぞれがどんな課題を解決するのか、一般的な形式は何か、受け取り時にどこを確認すべきかをまとめました。デザインを依頼する際は、このリストと照らし合わせて足りない部分を把握し、一度にすべてを揃えるか、段階的に補うかを判断するとよいでしょう。関連サービスはグラフィックデザインサービスをご覧ください。

1. ロゴのベクターソースファイル:最も欠かせないもの

ロゴはブランドビジュアルの中で最も繰り返し使われる要素です。少なくともベクター形式のソースファイル(一般的にはAI、EPS、SVG)が必要です。ベクターファイルは劣化なく拡大でき、看板や印刷、大判出力に適しています。PNGやJPGしかない場合、一定のサイズを超えると輪郭がぼやけたりギザギザになったりします。

ベクターソースファイルに加えて、用途別に書き出した完成画像もいくつか必要です:

  • 透明背景のPNG:Webサイト、プレゼン資料、暗い背景や明るい背景に重ねる場合に。
  • 白背景または黒背景のバージョン:透明で重ねられない場面に。
  • 単色バージョン:印鑑、刻印、単色印刷など1色しか使えない場面に。

受け取り時には「完成画像」と「編集可能なソースファイル」を区別しましょう。完成画像はすぐ使えますが、色や字間を変更したり、構造を分解したりはできません。ソースファイルがあれば後から調整できます。納品時には、どれが編集可能で、どれが書き出し画像だけなのかを明確にしておくことが重要です。

2. フォントとカラーの定義ファイル

ブランドビジュアルを統一感のあるものにするには、フォントと色を明確に定義することが欠かせません。毎回感覚で選ぶのではなく、決めごととして持っておく必要があります。

フォントについては、見出しに使うフォント、本文に使うフォント、和文・欧文それぞれ何を使うかを明記します。ここで現実的な問題があります。多くの商用フォントはライセンスが必要で、デザイン案で使えても、対外的な印刷や商用利用が必ずしも許されるわけではありません。納品時にはフォント名を確認し、ライセンス購入が必要かどうかを自分で判断してください。フォントが自由に商用利用できると勝手に決めつけないようにしましょう。

カラーについては、「だいたいこの青」ではなく正確な色値を示す必要があります。よく使われる表現は以下の通りです:

  • HEXまたはRGB:画面、Web、SNS用。
  • CMYK:印刷用。
  • Pantone色番号(該当する場合):色に厳密さが求められる印刷や物料用。

画面の色と印刷の色は見え方が異なり、同じ色でもスマートフォン、モニター、紙の上では完全には一致しません。そのため、色値は用途別に提供する必要があり、一つの数値だけを汎用として渡すのは避けるべきです。

3. 1ページの基本的な使用ガイド

小規模企業に何十ページものブランドマニュアルは必要ありませんが、簡単な使用ガイドは非常に役立ちます。これは「ロゴを受け取った人がどう使えばよいか」を解決するもので、以下の内容を含みます:

  • ロゴの周囲にどれだけ余白を取るか、端に寄せたり他の要素に重ねたりしないこと。
  • 最小使用サイズ(小さすぎると見えにくくなる)。
  • 許可される配色の組み合わせと、推奨されない使い方(例:引き伸ばし変形、輪郭線の追加、奇妙な色への変更)。
  • メインカラー、サブカラーとそれぞれの色値。
  • 見出し・本文フォントの名称。

このガイドは厚く書く必要はなく、1~2ページで日常的な使用をカバーできれば十分です。価値は、自分でデザインするにせよ他人に依頼するにせよ、判断の基準ができ、毎回スタイルが変わってしまうのを防げる点にあります。

4. よく使う物料ファイル

基礎的なブランドビジュアルの「ファイル」には、具体的な物料の完成品や編集可能なデータも含まれます。小規模企業が優先的に用意するのは通常以下の通りです:

  • 名刺:印刷用の編集可能データが必要で、塗り足しやトンボなどの要件を確認します。印刷関連ファイルの具体的な仕様は印刷会社に確認してください。塗り足し、カラーモード、ファイル形式の要件は印刷会社によって異なる場合があります。
  • レターヘッド、封筒、社用テンプレート:正式な対外文書に使用。通常は編集可能なドキュメントテンプレートです。
  • プレゼン資料(PPT)テンプレート:表紙、目次、内容ページ、締めページなど、社内で繰り返し使えるように。
  • SNSテンプレート:アイコン、カバー画像、よく使うレイアウト。テキストや画像を差し替えられるようにしておきます。

これらを一度にすべて作る必要はありません。まず名刺とプレゼンテンプレートを作り、実際に必要になったら他を追加するという進め方で構いません。重要なのは、どの物料を作るにしても編集可能なファイルを残し、後から内容を変更できるようにすることです。作り直しにならないようにしましょう。

5. 納品時の確認方法

ファイルを受け取ったら、以下の点を一通り確認し、後からの手戻りを防ぎましょう:

  • ベクターソースファイルが正常に開けるか、レイヤー構造が分かりやすいか。
  • 書き出したPNGが透明背景か、暗い背景と明るい背景の両方で見やすいか。
  • 色値が揃っているか、画面用と印刷用が分けて記載されているか。
  • フォント名が明記されているか、追加ライセンスが必要か。
  • 印刷関連ファイルが印刷会社の要件に従って塗り足しやカラーモードを設定しているか。
  • 編集可能ファイルと完成画像が分けて保存されているか、ファイル名が分かりやすいか。

納品されたのが画像だけでソースファイルがない場合、電話番号を一つ変える、色を変えるといった作業でも作り直しになり、かえってコストが高くつくことがあります。ですから確認の際は、まず「変更できるか」を確かめ、その後に「見た目がよいか」を判断しましょう。

6. 必要に応じて段階的に、一度にすべてを揃えなくてよい

基礎的なブランドビジュアルのファイルリストは、コアから周辺へという順序で考えると分かりやすいです。ロゴのベクターソースファイル、フォントとカラーの定義、1ページの使用ガイドが最も核となる3点です。名刺、プレゼン資料、SNSテンプレートなどの物料ファイルは、実際の使用頻度に応じて徐々に揃えていけばよいでしょう。

まず今後3か月でどこに使うかを考え、それから今回どのファイルを作るかを決める方が、使わないものを一度に大量に揃えるより現実的です。必要に応じて既存のファイルを整理し、不足している部分を判断することもできます。

03 /

知識から実践へ

コンテンツ計画
01

コンテンツ計画

レスポンシブ設計
02

レスポンシブ設計

継続的な運営
03

継続的な運営