現在のLogoが「少し古い」と感じたとき、すぐに「リデザインをお願いします」と言うのは避けましょう。LogoアップデートとLogoリデザインは、範囲の異なる依頼です。前者は既存の識別要素を保ちながら限定的な調整を行い、後者は図形、書体、比率、組み合わせ関係を再構築する可能性があります。範囲が異なれば、準備すべき資料、見積もりの構成、納品・検収の方法も変わります。
最も実務的な違い:何を変え、何を残すか
Logoアップデートは通常、具体的な問題に対処します。たとえば、線の太さが縮小すると見えにくい、日本語と英語の書体の組み合わせが調和していない、暗い背景で色がはっきりしない、横版と縦版の比率が統一されていない、といったケースです。アップデートの前提は「既存の識別要素を引き続き使う」ことで、変更点を項目ごとにリスト化し、一つずつ確認できます。
一方、Logoリデザインは既存の案を参考として扱い、必ずしも残すべき基盤とはしません。デザイナーは図形の方向性、書体、色彩、組み合わせ構造を再選択する可能性があり、最終結果と旧Logoの視覚的なつながりは強くも弱くもなります。依頼時に何を残すか明示しなければ、リデザインは「よりモダンに見える別のマークに変える」ことになりやすく、既存の識別が弱まる恐れがあります。
判断方法は簡単です。まず旧Logoの中で必ず残す要素をリストアップします。たとえば、メイン図形の輪郭、ブランドカラー、ロゴタイプの読み方、組み合わせ方などです。残す項目が多いほどアップデートに近く、残す項目が少ない、またはない場合はリデザインに近づきます。
依頼前に準備する資料
アップデートでもリデザインでも、まず既存のLogoファイルを整理しましょう。スクリーンショット一枚だけを送るのは避けてください。以下の区別が必要です。
- 完成ファイル:JPG、PNG、PDFなど閲覧・使用用のファイルで、必ずしも編集できるとは限りません。
- 編集可能ファイル:AI、EPS、SVG、レイヤー付きソースファイルなど、図形・文字・色を変更できるもの。
- ライセンス説明:フォント、図形素材、画像に商用利用可能なライセンスがあるか、変更が許可されているか。特にフォントライセンスは文字変更時に問題が起きやすいです。
スクリーンショットしかない場合、デザイナーはまずトレースまたは再描画する必要があり、この作業量が見積もりに影響します。依頼前には、Logoをどのような場面で使うかも伝えましょう。たとえば、看板、名刺、パッケージラベル、SNSアイコン、ECメイン画像、PPT表紙などです。使用場面によって、最小サイズ、単色版、反転版、ファイル形式のニーズが決まります。
印刷物が関わる場合、紙、加工、色の要件は印刷会社に確認し、設計ファイルが印刷要件を満たすかどうかも印刷会社が確認すべきであり、デザイン側が一方的に保証するものではありません。
見積もりが異なる理由
Logoアップデートとリデザインの見積もり差は、主に作業量の変動要因によるもので、固定の相場があるわけではありません。見積もりに影響する一般的な要素は以下の通りです。
- 変更範囲:色と間隔の調整だけか、図形の再描画、書体の再選定、組み合わせの再構築を含むか。
- 案の数:いくつの方向性が必要か、何回の修正が含まれるか、約束した回数を超えた場合の費用。
- 既存ファイルの品質:編集可能なソースファイルがあるか、再描画が必要か。
- 展開範囲:名刺、パッケージラベル、SNSテンプレートなどの物料を含むか、Logo本体のみの納品か。
- ライセンスと買い取り:フォントの追加ライセンスが必要か、図形に第三者素材を使用するか。
見積もりを比較する際は、「含まれるもの・含まれないもの」を明確に記載することをお勧めします。印刷、配送、撮影、商標登録、パッケージ構造設計は通常、デザイン依頼にデフォルトで含まれず、別途確認が必要です。
ブランドアイデンティティを保つ実践方法
目的がブランドを捨てることではなくアップデートである場合、依頼時に以下のことを行いましょう。
- まず残すリストを決める:必ず残す要素を書き出します。たとえば、メイン図形、ブランドカラー、ロゴタイプの読み方など。リストが具体的であるほど、変更が管理しやすくなります。
- コアと応用を分ける:コア識別はできるだけ動かさず、応用部分はより柔軟に。たとえば、メインLogoは安定させ、SNSアイコンやパッケージラベルは簡略版にするなど。
- 並べてテストする:新旧バージョンを並べ、縮小、単色、暗い背景、遠くから見たときに認識できるか確認します。テストは仮想シーンで十分で、ユーザーデータを捏造する必要はありません。
- 旧バージョンのファイルを保管する:アップデート後も旧Logoが既存物料で使われる可能性があるため、ソースファイルとライセンス説明を保管し、後で見つからなくならないようにします。
- 納品内容を明確にする:納品時にどの形式を受け取るか、編集可能なソースファイルが含まれるか、フォントと素材のライセンスが今後の使用をカバーするか確認します。
納品・検収時に確認すること
検収はメイン画像一枚を見るだけではありません。使用場面ごとに確認しましょう。横版、縦版、単色、反転、小サイズで明確か。ファイル形式が一般的な場面をカバーしているか。編集可能ファイルが開き、レイヤーやパスが保持されているか。フォントと素材のライセンスが明確に説明されているか。今後、印刷会社やECプラットフォームに渡す場合、相手が受け入れるファイル形式と要件を事前に確認しましょう。
依頼範囲にビジネス物料、ポスター、パンフレット、PPT、SNS広告、EC画像、パッケージラベルが含まれる場合、依頼前に物料リストとそれぞれの使用場面を書き出し、Logoアップデートだけで済むのか、アプリケーションガイドラインも同時に調整する必要があるかを判断するとよいでしょう。グラフィックデザインサービスを依頼する際は、上記の範囲で資料を整理し、デザイン側と見積もり・納品内容を確認してください。





